新曲いきます。
なんだろう?と緊張と共に高揚した。すると会場が一気に暗くなり、フレディさんにスポットライトがポツリと当たる。
ホォーエヤエーエーェ ヨイヤーサーノサーサ ヤンサーノエーエ ヨイヤサーノサーサ
暗い会場に優しく、力強い男の掛け声が響き渡ると、続いてちゃんゆかさんと竹ノ子さんも続く。三度目の掛け声と同時に、キーボードがフレーズを弾き始めた…。それは、泡の様に溢れ出す様な、儚くて、憂いを帯びた優しいフレーズ。
後ろでパーカスの音が涼しい音色で カン・カカンカン…と鳴る。
すると、ステージは照明で海の色に染まり、ブルージーなベースラインに爽やかなホーンのメロディが、優しい雰囲気を会場の隅々まで届ける。そして、
なんの〜因果〜で 貝殻漕ーぎ〜なーろぉーお〜た♪ カワイヤノーォ カワイヤノー♪
今までの民謡とは違って、かなり歌詞が耳に入ってきやすい。その分、曲の内容のもの悲しさや、歌った人たちの苦労がひしひしと伝わってくる。名も知らない、聴いたことのない民謡にただただ心を一生懸命馳せた。聴くとそれは、貝殻漁の漁師さんたちの唄だった。歌詞も音色も、浮かぶ情景も何もかもが完璧で、また涙がボロボロ溢れた。泣きじゃくりながら、小さな声で漁師さんたちがあげたであろう、掛け声を自分も口ずさむ。
辛い内容だけでなく、自分はなんのために頑張っているかを思い出して、小さくも尊い希望を持って日常を生きる爽やかな歌詞の終わり方。すごく応援され、心が浄化された。
(貝殻節 - 民謡クルセイダーズ https://youtu.be/7xRqFABiC2A?si=FA_H2xL8_FljWUxq )
その後は、木曽の山の中を歌った唄、ハイヤ節のちょっとダークだけれどパワフルな曲調に心を奮い立たされた。
そして名残惜しくも訪れる終盤。
低く跳ねるベースリフと程よく焦らされる様なキーボードとホーンのイントロが聴こえてきた。そう、会津磐梯山だ!
ジャズの名曲「キャラバン」のメロディを織り混ぜたその曲は、まさにブルーノートにふさわしい、最高にユニークな遊びを効かせたアレンジ!!会場はもう最高潮だった!!
(会津磐梯山 - 民謡クルセイダーズ https://youtu.be/JX5WJy_0Aaw?si=fNq7J6dUcpQcT6DF )
次はやっぱり、炭坑節!!
煽りに煽られた会場を気持ちよく落ち着かせてくれる、爽やかで可愛い気のあるイントロが終わると
月が〜 出た出〜た〜♪ 月が出た〜 ヨイヨイ♪
明るくキャッチーな歌詞と、素敵な夜を踊り明かせるバンドサウンドにみんな笑顔が溢れる!
その時、ちゃんゆかさんや竹ノ子さんたちが踊っているのを観て「民謡って踊れるんだ…!」と何も民謡について知らなかった自分は、新鮮な気持ちを抱いた。いつかああいう風に、民謡で踊れる日が来るのだろうか?その時、新しい憧れが生まれた。
( 炭坑節 - 民謡クルセイダーズ https://youtu.be/Uo3JRxILt-w?si=t4IVkq7YJ1cNSk1f )
最高の時間を届けてくれた民謡クルセイダーズのステージは、一旦幕を閉じたかに見えた。
だが、感激しすぎて興奮覚めやらぬ会場全員が、アンコール所望の下心全開な拍手!
コロナ蔓延の最中、これだけお祭りの様で、日本人の心に真っ直ぐ届く民謡の魅力の虜になってしまったら、もうあと一曲を所望したくなる!!かくいう私もすっかり、その中の1人だった。するとメンバーは…
ソーラン節を披露!曲の内容に対してあまりにもトロピカルすぎるサウンドとメロディラインに大笑い!!そしてまさかのちゃんゆかさんはサイリウムを持ち、まさかまさかのオタ芸!あのBLUE NOTE の、ジャズジャイアンツたちが立ったステージで!!あまりにも自由奔放なスタイルに、笑顔が戻ってきた。
(ソーラン節 - https://youtu.be/BArrg29-FLw?si=XXaWBd6a7zEOCT1P )
楽しい曲が終わり鳴り止まぬ拍手。誰もが気持ち良く、楽しい夜の終わりを悟った。ところが、
更に大盤振舞い!民クルの粋な計らいで、もう一曲を披露するとのこと!フレディ塚本さんたった1人がステージに上がっていった。それは…
相撲甚句!
( 相撲甚句 - 民謡クルセイダーズ https://music.apple.com/jp/album/%E7%9B%B8%E6%92%B2%E7%94%9A%E5%8F%A5/1317675439?i=1317675875 )
たった1人で、祈りと心の篭った歌声が、BLUE NOTE TOKYOというアメリカナイズされた空間に響き渡る。それは、コロナ禍だからこそ身に沁みる歌詞だった。その歌を聴いている時は、姿勢を正し、軽く俯いて聴いていた。民謡クルセイダーズへ感謝の心を抱きながら。
途中相撲甚句の歌詞を、BLUE NOTEへ参りますと変える粋な遊びが飛び出した時、会場からワッ!!と拍手が上がる!コロナ蔓延中できる、最高の賛辞だ!!そしてついに訪れる曲の終わり。
思えば〜涙が〜、パラ〜リパラリと…ハァ〜!!
その掛け声に対して会場は静かに、
どすこい〜どすこい…!
おくゆかしくも力強い小声をあげた。終演。
終わった瞬間、自分の口が勝手に「日本一(にっぽんいち)!」と言った。今まで口にしたことがなかった日本語が、隣の人に聞こえる声で自分の口から発された。そう言ったあと涙がボロボロ溢れて止まらなかった。止まるまでずっと、その場にとどまっていた。素敵な余韻が、じんわり心も耳も頭もいっぱいにしてくれた。
ライブ当時の背景では、コロナの第六波の猛威が迫っていた。今回の民謡クルセイダーズライブは、本来2021年に開催される予定だった物が延期になり、2022年もまた開催が危ぶまれていた。しかし、BLUE NOTE TOKYOはこれを敢行。お店側にとっても、民謡クルセイダーズにとっても、かなりリスキーなライブであったことだろう。
しかし、自分はこのライブが、大成功だったと思えてならない。
貝殻漁の唄も、相撲甚句も、暗い日本社会を生きる自分達にすごく重なることが多かった。
それだけでなく、海外文化への過度な順応を強いられ、猛威に晒され疲れた現代、そんな今を生きる人全員に日本人という民族のキャラクターと、日本語や旋律、元来持っているはずの癒される時間の流れや感覚、それらの素晴らしさに気付き、感じられて、楽しめてとても元気を貰った。そんな応援歌を民謡クルセイダーズとBLUE NOTE TOKYOが届けてくれたことに、ひたすら感謝した。
2022年1月22日、それは自分にとって人生で本当に嬉しい瞬間に出会えた日だった。
一生物の、ずっと追いかけられる音楽を、遂に見つけた瞬間だった。
MINYO IS BACK IN TOWN - MINYO AT BLUE NOTE TOKYO
2022年1月22日(土)
~メンバー~
フレディ塚本(ヴォーカル)
田中克海(ギター)
Moe(キーボード)
イデソノオ(ティンバレス)
小林ムツミ(ボンゴ)
Irochi(コンガ)
大沢広一郎(サックス)
カナミネケイタロウ(ベース)
野口勇介(トランペット)
~サポートメンバー~
湯浅佳代子(トロンボーン)
ちゃんゆか(お囃子)
竹ノ子みどり(ヴォーカル、お囃子)
~第二部セットリスト~
※うろ覚えだったため、他のお客さんのTwitter(現:X)に残したメモを参考にしました。
①串本節 https://youtu.be/swQ9_UN_zi4?si=lGwhhd8TTu3SxNXw
②虎女さま https://youtu.be/cID4CrsSA8Q?si=4XHIuuseHu49aucM )
③おてもやんhttps://music.apple.com/jp/album/%E3%81%8A%E3%81%A6%E3%82%82%E3%82%84%E3%82%93/1317675439?i=1317675456
⑥貝殻節 https://youtu.be/7xRqFABiC2A?si=FA_H2xL8_FljWUxq
⑦木曽節 https://youtu.be/Z0LP6NjEmZc?si=gdC0BA1sIHrq9Cc_
⑧ハイヤ節 https://music.apple.com/jp/album/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%A4%E7%AF%80/1713525818?i=1713526338
⑨会津磐梯山 https://youtu.be/JX5WJy_0Aaw?si=fNq7J6dUcpQcT6DF
⑩炭坑節 https://youtu.be/Uo3JRxILt-w?si=t4IVkq7YJ1cNSk1f
~アンコール~
①ソーラン節 https://youtu.be/BArrg29-FLw?si=XXaWBd6a7zEOCT1P
②相撲甚句 https://music.apple.com/jp/album/%E7%9B%B8%E6%92%B2%E7%94%9A%E5%8F%A5/1317675439?i=1317675875
民謡クルセイダーズ、BLUE NOTE TOKYO の皆様、その節は、本当にありがとうございました。
私は心の底から、幸せでした。
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